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放射線病理学
ご挨拶
悪性腫瘍(がん)に対する治療法は、大きく外科的手術、化学療法そして放射線療法があります。我が国では、局所的ながんに対して外科的適応が多い現状にあります。全身に広がったがんに対しては、分子標的薬の導入もあり、化学療法私が主体で、免疫療法も知られて来ています、私達は、局所的ながんに対しては、機能温存に優れた放射線療法の適応が今よりも拡大して良いと考えています。しかし、放射線耐性のがんでは、がん細胞と同時に被ばくする正常細胞への有害な効果が大きく、がんを治すことは困難です。そのため、放射線の細胞への影響を知り、耐性を克服するために、放射線耐性について研究しています。
一般的な放射線療法は1日2Gy、30日で合計60Gyの線量のX線による分割照射です。そこでヒトがん細胞株に低線量を照射することから始めて、24時間ごとに2GyのX線照射にも拘わらず増殖できる細胞を樹立し、臨床的放射線耐性細胞(Clinically Relevant Radioresistant, CRR)細胞と命名しました。
それらの細胞株は一端は大学に帰属しても、主研究者の定年とともに所在や管理が不明となってしまいます。強力な研究ツールとしてのがん細胞株を管理し、世界中の研究者に分与するとともに、耐性克服研究を継続し、発展させるためにNPO法人治療耐性がん細胞研究協議会を設立しました。
ひとりでも多くの研究者が放射線耐性に興味を持って、我々の樹立したCRR細胞を利用していただくことを願っております。
福本 学
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